lung-ta project - ルンタ・プロジェクトとは

ルンタ・プロジェクトの「ルンタ(lungta)」とは、チベット語で「風の馬」。チベットでは、ルンタが風に乗って空を駆けて仏の教えを広め、願いを天に届けてくれると信じられており、家々の屋上や峠には、ルンタを刷った5色の旗、タルチョが風にはためいている光景がみられます。チベット人たちの切実な思いが天に届きますように、チベットに平和と自由がありますように――ルンタ・プロジェクトは、そんな願いを込めて名づけられた、1997年設立の日本人有志による草の根NGOです。


チベット問題と「ルンタ・プロジェクト」


チベットは、ヒマラヤ山脈周辺の高原地域を中心に独自の文化を育んできた人たちの住む地域です。その文化圏は広くインド北部、ネパールの一部、中国のチベット自治区および青海省・四川省・雲南省の一部に広がっています。
特に中国領内のチベットについては、1949年の中国共産党による侵略以来、破壊、拷問、強制労働、飢餓の苦しみにさらされてきました。固有のチベット文化の価値を否定され、チベット独自の歴史を学ぶことは許されず、大規模な開発の波にさらされ、現在、チベットの人々が守りつづけてきた伝統文化や宗教、自然は消滅の危機にさらされています。

1959年、ダライラマ14世は亡命を余儀なくされ、インド北部のダラムサラに暫定的に亡命政府を樹立しました。以来、法王を頼って亡命したチベット難民は15万人にものぼり、現在も増えつづけています。
現在も毎年3,000人以上が難民となって中国を逃れてくるという現実はあまり知られていません。中国領チベットでは、大規模な漢民族の移住政策や中国語の強制によって、同化政策が進められています。チベット国旗を揚げることはもとより、ダライラマ法王の写真を所持することさえ禁止され、寺院の僧侶らは政治教育を義務付けられ、「チベットに自由を」と叫んだだけの人たちが投獄されています。こうした抑圧を逃れ、命がけでヒマラヤを越えて亡命するチベット人が後を経たないのです。

しかし、チベットを逃れて無事にインドにたどり着いたとしても、そこでの生活が保障されているわけではありません。難民キャンプでは、就学や就労の機会は少なく、技術習得の機会も十分ではありません。
ルンタ・プロジェクトはこうしたチベットの現実を少しでも知ってほしい、またわずかでも現状を変えていきたい、と考える日本人有志によって、1997年に設立されました。ダラムサラを拠点にした現地での難民支援活動と、チベット文化やチベット問題を知るための日本国内での活動を、草の根レベルで行っています。


 

activities - これまでの活動内容(2007年まで)


ルンタ・プロジェクトの活動内容(2007年まで)


ルンタ・プロジェクトは1999年9月、ダラムサラに、4階建ての難民自立支援施設「ルンタ・ハウス」を建設。チベットでの自由を訴えて投獄された経験をもつチベット人たちによるNGO「The Gu-Chu-Sum Movement of Tibet (グチュスムの会)」を現地協力団体として共に運営にあたってきました。

ルンタ・ハウスは、教育や技能習得の機会のない、しかしチベット本土へ戻ることができない事情を抱えた難民を対象とした教育協力事業・自立支援事業を行っています。現在、約60人の難民がルンタハウスで生活しており、また病院通院や法要などのためにダラムサラに一時滞在する貧しい難民たちにも食事と宿泊を提供しています。ルンタ・ハウスでは以下の事業を行っています。

日本食レストラン(ルンタ・レストラン)――パン、洋食、日本食の調理技術を学び、売上をルンタハウス運営費に充てています。

手工芸工房――ミシン縫製技術を学ぶ工房で、裁縫と仕立ての技術指導を行い、縫製作品の販売収入で自立を目指します。

成人教育事業――異郷インドで生活するために必要な英語、また就職につながりやすいパソコン技術の指導を行います。クラスは無料で、チベット人講師と欧米人ボランティア講師が授業を担当しています。コースは一年間で、約20人の難民がルンタハウスで生活しながら学んでいます。

出版事業――チベット語・英語による年鑑誌の発行、また難民たちのライフヒストリーを出版しています。

ルンタプロジェクトでは、これまでグチュスムの会と共にルンタハウスを運営してきましたが、2008年度よりルンタレストランを除く上記のプロジェクトをグチュスムの会による維持・運営に任かせ、新規プロジェクト(HIV感染予防・エイズケア)の企画・実施を行うこととなりました。10年を経て、グチュスムの会は資金調達、組織管理、プロジェクト運営において実質的な自立を達成し、プロジェクトを効果的、また効率的に運営しています。
ルンタプロジェクトはこれまで会員を募り、プロジェクトへの定期的な寄付を皆様にお願いしてきましたが、今後は助成金への申請やチベットコミュニティ内での資金調達へと移行し、活動を続けていきたいと思っております。なお、里親支援プロジェクトは継続いたします。


パソコンクラス


英語クラス(AM10:00〜)


英語クラス(PM7:00〜)


手工芸工房


手工芸工房


手工芸工房


手工芸工房


手工芸工房

手工芸工房


手工芸工房

シルクスクリーン工房


シルクスクリーン工房

ルンタ・レストラン

ケーキ@ルンタ・レストラン

クッキー@ルンタ・レストラン

activities - 現在の活動内容(2008年度)


新規プロジェクト HIV感染予防・エイズケアプロジェクト


ルンタ・プロジェクトは2006年10月より、新規プロジェクトとしてチベット成人難民を対象としたHIV感染予防・エイズケアプロジェクトを始めました。エイズはチベット難民社会で静かに蔓延しつつあります。チベット難民社会全体におけるHIV感染者数は公表されていませんが、2006年に行われた20代の若者45人を対象としたHIV抗体検査の結果は、45人中2人が感染していたという深刻なものでした(注1)

インドにて亡命生活を営むチベット難民は季節労働に従事する割合が多いため、HIV感染の危険が高いグループ(high risk group)に分類されます。チベット難民社会における就業形態は、ほぼインフォーマルセクター(注2)で占められ、全体の70%がインフォーマルセクターに就業することで収入を得ています。そのうち92%がセーター等を売る「露天商」や「季節労働者」としてインドの都市部へ定期的な出稼ぎを行っています(注3)。毎年秋になるとチベット人たちは、家族を残して町を離れ、都市部で約5ヶ月間行商を営みます。家族と離れて都市部に住むことで、買春に関わる可能性が高くなり、その結果HIV感染リスクも高まっていると推測されます(注4)UNAIDS(2006)の統計によると、インドの感染者総数は世界で三番目に多く、250万人を超え、一日約1,600人が新たに感染していると見積もられています。感染者のうち、約85%が性感染を通してHIVに感染しており、また、都市によっては性産業に従事する女性の約60%がHIV陽性であるという統計もあります(注5)

また、チベット難民の若者間でのドラッグの蔓延もHIV感染のリスクを高める要因になっています。失業率の高さは、チベット難民社会が抱える大きな課題のひとつですが、チベット亡命政府の財政規模の小ささに加え(注6)、地場産業や工業が発展しなかったこと、インド社会での就職が困難なこと等の理由により、失業率は少なく見積もっても7.7%になるといわれています。難民居住区によっては15.6%(オリッサ州プンツォックリン)にも及ぶ地域もあります(注7)。高い失業率がもたらす閉塞感、フラストレーションは若者の間でよくみられ、ドラッグが蔓延する一因となっていると考えられます。

これらの高いリスク要因にもかかわらず、チベット亡命政府のHIVエイズ対策への取り組みは遅れていると言わざるを得ません。厚生省にはこれまでHIVエイズ研修を受けたスタッフは一人もなく、エイズ問題に対応できる人材が不足しています。またエイズ感染者への支援団体もなく、カウンセリング等のメンタルケアサービスも一切行われていません。また、難民学校では性教育やエイズ教育を受ける機会がないため、次世代へのHIVエイズ予防対策も遅れています。

これらの状況を踏まえ、ルンタプロジェクトは予防からケアまでを含む総合的なHIVエイズ予防プログラムがチベット亡命社会に必要であると考え、以下のニーズアセスメントや感染予防、感染者ケアのプロジェクトを企画・実施しています

(注1) Department of Home, TGiE

(注2) ILOの定義によるとインフォーマルセクターとは「労働期間が不定期であるため、収入が安定せず、また被雇用者として雇用主と雇用契約を結ぶことがないため法的な保護を受けられない自営業者及び日雇い労働者」と規定されている。ILO. (2002).

(注3) Central Tibetan Administration, Planning Commission. (2004). Tibetan Community in Exile: Demographic and Socio-Economic Issues 1998-2001. Dharamsala, India. P.19.

(注4) Migration for work, seasonal labor and professions such as truck-driving can separate men from their spouses or regular partners for long periods, increasing the likelihood of entering into casual, unprotected sex, including relationships with sex workers (UNAIDS. 2006, HIV/AIDS and Gender: Facts sheets).

(注5) World Health Organization. (2007). HIV/AIDS in the South-East Asia Region. Regional Office for South-East Asia.

(注6) チベット難民亡命政府の年間予算は約20億円である。Tibetan World. (2007). Vol 3 Issue 9. New Delhi, India. P.19.

(注7) Department of Home, CTA (2005). Unemployment Survey 2005. Dharamsala, India.


プロジェクト概要

1.       上位目標 

チベット難民居住区にて、HIV感染者数が減少する。
チベット難民居住区にて、HIV感染者への治療及びケアの質が高まる。

2.      プロジェクト目標

チベット難民を対象としたHIV感染予防対策・エイズケア対策が、亡命政府、NGO、コミュニティグループ等からなるマルチセクター内の横断的ネットワークを通して、持続可能な形で実施される。

3.      活動内容

1. アセスメント
2. HIV感染予防プロジェクト
3.HIV感染者・エイズ患者ケアプロジェクト

4.      プロジェクト進捗状況(2007年12月)

2007年3月に予定されていたHIV専門家養成のための研修は、プロジェクトスタッフ2名及び現地協力団体の担当者5名(医師2名、看護師1名、ソーシャルワーカー2名)の計7名の参加のもと、無事に終えることができました。3週間の研修は、デリーのNGO団体SAHARAにて、二週間の集中講義と一週間の実習を通して行われました。SAHARAは、デリーを中心にエイズ患者のためのホスピスやクリニックを運営する団体であり、その活動は売春地域でのコンドーム使用促進、麻薬常用者のための注射針交換、スラムでのHIV感染予防啓蒙、HIV感染者たちへの職業訓練等多岐に渡ります。

今回の研修の内容はHIVに関して基礎から学べるように構成されており、HIV感染予防、STD(性感染症)等の基礎知識の説明から、カウンセリングのノウハウやHIV感染予防ワークショップの内容や組み立て方についても講義が行われました。研修は、ロールプレイやデモンストレーションを多く含んだ実用的な内容であり、また麻薬常用者への対策といった感染リスクの高いグループへの取り組み方についても学ぶことができました。一週間の実習はSAHARAが運営するホスピスで行われ、結核等の日和見感染症対策やART投薬といった専門知識やエイズ患者のターミナルケアについて精神的ケアも含めた実務的な知識を得ることができました。

研修終了後、研修参加者が中心となってHIV感染予防ワークショップの企画・開催が行われ、2007年12月までに19ヶ所の学校や難民キャンプにてワークショップが開かれました。ワークショップはダラムサラのみではなく、デリーや南インドのバンガロール、またウッタランチャル州やタミールナドゥ州のチベット難民キャンプにおいても開催されました。また、ラジオやケーブルテレビといったメディアを通してのHIV感染予防の啓蒙活動も積極的に行われました。

また、ニーズアセスメントのために、8月から11月に渡って成人難民を対象としたHIV感染リスク度を計るアンケート調査(無記名・50問)が実施され、220件の回答を回収することができました。

ルンタプロジェクトは、この新規プロジェクトが持続可能なものとなり、より大きな効果を得るためにも、チベット人の自主的かつ積極的な参加が不可欠であると思っています。そのためには、チベット人たちを主体としたプロジェクト組織を形成する必要があると考え、NGOとしてインド政府に現在登録申請中です。組織はCHOICEと命名され、HIV研修を受けた医師・看護師たちが中心メンバーとなり、11人のチベット人たちから構成されています。代表理事に元福祉事務所所長・亡命政府議員のダワ・ツェリン氏に迎え、2008年からはチベット人たちが中心となりプロジェクトを進めていくことになっています。

CHOICEのサイトへ(英語のみ)



publication - 出版事業

グチュスムの雑誌「Tibetan Envoy」(英語版)ができあがりました!

お読みになりたい方はメールにてお申し込みください。
(送料込みで1000円。全額グチュスムの会に寄付されます。)

申し込まれた方には、23年の懲役を受けて服役中の尼僧ガワン・サンドルの釈放キャンペーン・ポスターを同封いたします。↓



activities - その他の活動内容

・ トゥサム・アーカイブ・プロジェクト(聞思・記録保管プロジェクト)

ダライラマ法王亡き後のチベット仏教会を背負うと言われているリン・リンポチェ。わずか、18歳のこの青年僧は、亡命社会で受けられる最も高レベルの仏教哲学を日々学び、研鑚しています。リン・リンポチェの教師として従事しているのは、チベットで博士号を取った最後の世代にあたる老僧たちばかりです。西洋諸国にも仏教学者として著名なデンマ・ロチョ・リンポチェ、ゲチェ・パルデン・ダクパ師などの高僧たちから個人レッスンを受けています。
リン・リンポチェ自身が非常に聡明な若き学僧であること、また、教師たちも高齢でこの一連の教えがきっと最後の口伝になるであろうこと等を考慮すると、後世に残すべき人類の知的財産の一つではないかと考え、ルンタ・プロジェクトでは、2001年より、南インドのガンデン寺図書館の僧侶たちとダラムサラにある仏教論理大学の尼僧とともに、アーカイブプロジェクトを始めました。 日本の専門の方にいろいろ相談した結果、MDで録音し残しておくのが、経済的にもアーカイブとしても、一番いいのではないかと判断。これまでに、日本からの旅行者を通して持ってきていただいたMDウォークマン2台、録音マイク、MDカセット000枚を南インドに送りました。そのほとんどを、持ってきていただいた方から寄付して頂きました。 2002年度は、ルンタ・プロジェクトの一般会計からMDラジカセ1台、MDカセット300枚を寄付しました。

・ ニントップリン特別養護学校への寄付

ダラムサラ近郊にある障害児のための養護学校へ、水が悪いためにお腹を壊す生徒たちが多いということを聞き、浄水器と冷蔵庫をルンタの会員の方、二名に特別に寄付金を頂いて寄付することができました。

・ 博中政治研究会へ雑誌「民主図博」出版費として寄付

蘭州の民族学院で学んだ後に、インドに亡命した青年4人による中国語による季刊誌です。内容は時事問題や政治、社会現象、政策関係、文化など多岐に渡ります。

・ チベット亡命政府・文部省へ子供のためのチベット語新聞への寄付 

パユル出版費として寄付 文部省が出すチベット語の季刊紙パユル(パユルは祖国の意)。カラー版で子供たちが創作した詩、チベット民話などが楽しめます。


・ グチュスム・ドキュメンタリービデオ 「Close to Buddha ブッダガヤ巡礼の旅」

グチュスムの活動を紹介したビデオ(34分)を製作しました。2002年1月にブッダガヤで行われたカーラチャクラ法要にグチュスムのメンバーが参加した時の様子を、一緒に旅をしたオーストラリア人のローリー・カビィが撮影した記録をまとめたものです。ダラムサラを出発して、ベナレス、クシナガルなどの仏跡をまわりながらブッダガヤに至るまでの巡礼の旅を追ったロード・ムービーであり、またメンバーへのインタビューを通してチベット問題をわかりやすく説明した入門ビデオでもあります。日本語ナレーション、字幕付きのもので、2003年11月に行われた「チベット証言ツアー」の広島・京都会場でも上映しました。



ルンタ・プロダクツのショップがオープンしました!
「LUNGTA PRODUCTS」 OPEN !!


2003年5月、ルンタレストランに隣接するスペースに手工芸工房の製品を売るショップ「LUNGTA PRODUCTS ルンタ・プロダクツ」がオープンしました。

白を基調としたシンプルなデザインのショップです。 ダラムサラにお越しの際はぜひお寄りください。

 

 

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